ペルテス病でひざが痛むケース

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ペルテス病とは(症状・原因・治療)

膝の痛みを引き起こす可能性のある障害や病気の一つに「ペルテス病」があります。
ここでは膝の痛みとの関係を交えながら解説します。

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1.ペルテス病が疑われる症状

子供・児童のひざや股関節が痛む病気

膝の痛みのほかに以下のような特徴や症状が見られる場合、ペルテス病が発症している可能性があります。


  • 股関節、もも、膝に痛みが見られる(特に膝の痛みをうったえることが多い)
  • 足をねじったり、股を大きく開いたり曲げた時に特に強く痛む
  • 足を引きずって歩く(痛む足をかばうため)

こうした初期症状は「股関節結核」とも似ています。


2.ペルテス病とは 〜 特徴や原因

ペルテス病が起きる箇所
(クリック拡大)
図解:ペルテス病の患部

大腿骨(太ももの骨)の股関節側の先端部分「骨頭」に血液が循環しなくなることで骨が壊死し、痛みを訴えるとともに股関節を自由に動かすことができなくなる病気がペルテス病です。病気が進んで患部の骨が壊れて変形しますが、その後は時間と共に骨が自然再生します。

ペルテス病は3〜12歳くらいの子どもに起きる病気で、特に5〜7歳の活発な男児に多く見られます。大人に発症したものは大腿骨骨頭壊死と呼ばれ、原因や治療法がペルテス病とは異なります。


◆原因

なぜ骨に血液が循環しなくなるのか、根本的な原因は現在のところはっきりしていません。活発な男児に多く見られることから、小さなケガや疲労の蓄積が関係しているという考えもあります。

単純性股関節炎先天性股関節脱臼などの股関節の障害から進展して生じたり、過去に関節の異常を起こし、その際に適切な治療を受けなかったことが原因で後々になって発症することもあります。

◆その他の特徴

痛みの強さや症状は個人差があり、徐々に痛み始めることもあれば、突然痛み始めることもあります。また、「痛み」と「骨の壊死・変形」は同じ時期には起こらず、概ね下記のような順序で病状が進んでゆきます。


  1. 痛みが出始めてから1〜2ヶ月後あたりから症状が徐々におさまり、以後は目立った障害もなく生活できるようになる
  2. ちょうど症状が見られなくなったころから体内では骨の壊死が明確に現れ、小さくつぶれたり分離したりする
  3. 骨の変形・破壊が1年〜続いたあと、血行が回復すると共に徐々に新しい正常な骨が成長し始める

ペルテス病は放っておいても3〜4年程度で自然に回復しますが、新たな骨が再生する時に完全に元の形にならず、やや平らで潰れた形になって股関節のかみ合わせに多少のズレが生じるケースが多く見られます。
このズレによって痛みや関節の動きに支障が出ることはありませんが、将来成人してから変形性股関節症を発症する要因となったり、左右の足の長さに違いが生じたりすることもあるので、変形を少なくするためしっかり治療を行いましょう。

ペルテス病で変形した股関節の骨頭

3.診断・治療・予防

◆診断

X線撮影を基本とし、補助的にCTスキャン、MRI、造影X線撮影、血管撮影などを行い、画像で骨頭の変化をとらえることで診断を下します。
膝の痛みが見られる初期は骨の変形がほとんど見られないため見過ごされることも多いです。痛みの特徴などからペルテス病が疑われる場合には、ある程度期間をおいてからX線で再検査を行い診断を確定します。

◆治療

初期の膝の痛みに対しては安静を徹底します。
その後、骨頭の壊死が始まったら「手術」か「装具療法」のどちらかで治療を行います。どちらを撰択するかは症状の重さや患者の状態によって決めます。

装具
ペルテス病の治療用装具

手術療法では、新しく再生される骨頭の変形を少なくするために、大腿骨の骨頭か骨盤の一部を切除して形を変える処置を施します。
装具療法では、股関節・膝関節を固定するための器具を装着したり、松葉づえで歩くなど、患部を保護・固定することで負担を減らします。更に引っ張る力を加える「牽引療法」を併用しつつ、骨頭の変形を小さくしようとする方法をとります。この場合、手術療法と違い2、3年続ける必要があります。

子供の場合、壊死した骨はやがて自然に回復していきますが、大人に発症する「大腿骨骨頭壊死」においては壊死した骨が再生することはありません。


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股関節周辺の構造
(クリックで拡大)画像:股関節・仙腸関節の図解と各部名称

ひざ関節の構造
画像:膝関節・骨・靭帯の図解と各部名称
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