運動療法2.ストレッチングで膝の動きを改善

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膝関節の動きを良くするストレッチング(柔軟体操)

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1.ストレッチング(柔軟体操)の効果とポイント

◆得られる主な効果

ストレッチングの主な効果は「膝の動きを良くすること」です。
"関節がスムーズに動かない"、"膝を伸ばしきったり深く曲げることができない"といった症状に対して特に有効です。

  • 筋肉や関節の柔軟性が高まる
    →関節の動きが滑らかになる。また、膝の動く範囲(駆動域)が広がり、曲げ伸ばしがしやすくなる
  • こわばった筋肉が柔らかくなって血行(血液の流れ)が良くなる
    →炎症物質や疲労物質が流れ出て行きやすくなる
    →膝の動きが良くなるだけでなく、痛みや疲れもとれやすくなる
  • 膝の組織が刺激されて新陳代謝が良くなり、長期的にも痛みが起こりにくくなる
  • 体の奥の筋肉「深層筋(インナーマッスル)」が効率的に鍛えられる
    →関節の柔軟性の高まりとの相乗効果で、体のバランスが良くなりケガをしにくくなる

◆ストレッチングを行う際のポイント・注意点

  • 体を締めつけない、動きやすい服装で行いましょう。
  • 体が沈み込むような柔らかい布団やマットの上では行わず、平らなところで行いましょう。
  • 呼吸は止めずに行いましょう。息を吐きながら伸ばし、吸いながら元の姿勢に戻るのが基本です。
  • ゆっくりとした動作で行いましょう。必要以上に力んだり反動をつけてはいけません。
  • 強い痛みや不快感を感じない範囲で伸ばしましょう
    →筋肉が伸びる気持ちよさを感じながら行います。やや痛みも感じる「痛気持ちいい」くらいが最も効果的とされます。毎日続けることで少しずつ曲げ伸ばしできる範囲が大きくなりますので、焦らずに続けましょう。
  • 体が温まっている時は筋肉が柔らかく関節の動きが良くなります。温熱効果で痛みも和らぎますので、入浴後などに行うのがオススメです
  • 運動中や運動後に膝の強い痛みや動きの違和感、気分の悪さなどを感じたらすぐに運動を中止し、症状が治まるまで安静にしましょう。良くならない時は速やかに医療機関を受診してください。
  • 膝の治療で通院中の人、腰など膝以外にも持病のある人は、必ず事前に医者の指示を仰いで下さい。

運動全般のポイントと注意点については下記を参照してください。

2.太もものストレッチング

ひざから上の太もも周辺の筋肉や靭帯を伸ばすストレッチング法を紹介します。
前後左右の四カ所をしっかり行いましょう。

2-1.太もも前面の筋肉「大腿四頭筋」のストレッチング

やり方@

太もも前面ストレッチング-方法1

  1. 座って両足を前に伸ばす
  2. 片方の足のひざを折りたたむように曲げる。この時点で太ももの前面が伸びてつっぱるような感じがすれば筋肉がよく伸びている
  3. その状態でも余裕があれば、上体をゆっくりと後ろに倒して負荷を強める
  4. 筋肉が伸びて気持ちいいところで止め10秒保つ。これを5〜10回繰り返し行う。反対側の足も行う


やり方A

太もも前面ストレッチング-方法2

  1. 足を伸ばしてうつ伏せになる
  2. 片足を曲げ、つま先付近をつかみ、痛みのない範囲でお尻に引き寄せる
  3. この状態で10秒間保つ。これを5〜10回繰り返し行う。反対側の足も行う
  4. ※横向きに寝たり、立った状態で行ってもよい

2-2.太もも裏面の筋肉「ハムストリングス」のストレッチング

やり方@

太ももの裏のストレッチング-方法1

  1. 片方の足を曲げ、もう片方の足を伸ばして座る
  2. 伸ばした方の足首に触るように、上体を傾けていく。実際に触れなくてもよいので、無理のない範囲で前屈する
  3. この状態で10秒間保つ。これを5〜10回繰り返し行う。反対側の足も行う
  4. (ポイント)伸ばした方は膝の裏をしっかり伸ばす


やり方A

太ももの裏のストレッチング-方法2

  1. あお向けに寝て足を伸ばす
  2. 片足を曲げ、膝の裏側を両手で抱え、痛みのない範囲で胸に引き寄せる
  3. この状態で10秒間保つ。これを5〜10回繰り返し行う。反対側の足も行う

2-3.太もも内側の筋肉「内転筋」のストレッチング

太もも内側の筋肉を伸ばす柔軟体操

  1. 足の裏を合わせるようにして座る
  2. 足を無理のない範囲で体の方に引き寄せる
  3. 手で足の甲を押さえたまま、両脚を広げて太ももの内側の筋肉を伸ばし、10秒間保つ。これを5〜10回繰り返し行う。反対側の足も行う
  4. ※余裕があれば上半身を前に倒して前屈したり、両手で両膝を下に軽く押し広げる

2-4.太ももの外側(腸脛靭帯)とお尻(大殿筋)にかけて伸ばすストレッチング

やり方@

腸脛靭帯とお尻の筋肉を伸ばす柔軟体操1

  1. あお向けに寝て両足を伸ばす
  2. 膝を曲げた左足を、体と垂直になるように上げる
  3. そのまま左足を右側に倒す。左足が浮かないよう右手で上から軽く押さえる。
    この時、左肩が床から離れ過ぎないように首は左を向くとバランスが取りやすい
  4. この状態で10秒間保つ。これを5〜10回繰り返し行う。反対側の足も行う


やり方A

腸脛靭帯とお尻の筋肉を伸ばす柔軟体操2

  1. 両足を伸ばして座る
  2. 左足を曲げて右足の上をまたぐ
  3. 右腕を左足の左側に差し込み、腕やひじを使って、左膝を内側に押す。同時に腰と首は左側にひねる
  4. この状態で10秒間保つ。これを5〜10回繰り返し行う。反対側の足も行う
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3.膝から下のストレッチング

ふくらはぎの筋肉は「下腿三頭筋(かたいさんとうきん)」といい、腓腹筋(ひふくきん)、ヒラメ筋などから構成され、主に足首を曲げ伸ばしする働きをもちます。アキレス腱はふくらはぎの筋肉とかかとの骨を結ぶ硬いゴムのような組織で、歩いたりジャンプする運動の際に必要なものです。

◆ふくらはぎの筋肉とアキレス腱のストレッチング


ふくらはぎを伸ばすやり方@

ひざの裏側の柔軟体操-方法1

  1. 壁や手すりの前に立ち、足を前後に開く
  2. 前に踏み出した膝を軽く曲げ、腰を前に押し出すようにする。このとき、腰が反らないように気をつける
  3. この状態で10秒間保つ。これを5〜10回繰り返し行う。反対側の足も行う
  4. (ポイント)※頭の先からかかとまでが真っすぐになるように意識する


ふくらはぎを伸ばすやり方A

ひざの裏側の柔軟体操-方法2

  1. 床にあお向けになり、両足を伸ばす
  2. 両足のかかとを床につけたまま、両足首をゆっくり手前に反らし、5秒キープする
  3. つま先を立てるように両足首をゆっくり向こう側に曲げ、5秒キープする。これを10回程度繰り返す
  4. ※イスに座った状態で行なっても良い

アキレス腱を伸ばすやり方

アキレス腱と周辺筋肉を伸ばす柔軟体操

  1. 脚を前後に開いて立つ
  2. 後ろ側のひざを軽く曲げて、かかとを床につける
  3. そのままゆっくりと腰を落とす
  4. この状態で10秒間保つ。これを5〜10回繰り返し行う。反対側の足も行う


4.お風呂で行うストレッチング

入浴中にできる膝のストレッチング法です。特に膝の痛みが強い人におすすめです。
浴槽につかって十分に体を温めてから行いましょう。足が滑らないように十分気をつけてください。


やり方@ 膝の曲げ伸ばし

お風呂で行う膝の柔軟体操-方法1

  1. 浴槽のふちにしっかりとつかまって、ゆっくりとしゃがんでいく
  2. 痛みのないギリギリのところまで曲げたら、そのまま10秒間保つ
  3. 浴槽のふちにつかまり、ゆっくり立ち上がる。膝に手を当ててゆっくり10回押して膝を伸ばす。これを2回繰り返す

やり方A 脚の後ろ側のストレッチング

お風呂で行う膝の裏を伸ばす柔軟体操


  1. 浴室用のいすに腰かけ、背すじを伸ばす
  2. 両足を前に伸ばしてかかとを立てる
  3. 両手でひざを押し、前屈する
  4. この状態で20〜30秒間保つ。痛みの出ない無理のない範囲で行う


やり方B 膝のストレッチング

入浴中に行う膝の柔軟体操

  1. 湯船から出て、足をそろえて立つ
  2. 膝の上あたりを両手で軽く押さえて、膝の裏側の筋肉を伸ばす
  3. この状態で20〜30秒間保つ。痛みの出ない無理のない範囲で行う


◆関連項目


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