膝・股関節の痛みにつながる先天性股関節脱臼

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先天性股関節脱臼とは(症状・原因・治療)

膝・股関節の痛みの原因となる病気の一つに「先天性股関節脱臼(せんてんせいこかんせつだっきゅう)」があります。
ここでは膝の痛みとの関係を交えながら解説します。

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1.先天性股関節脱臼が疑われる症状

先天性股関節脱臼は幼児に起こる疾患で、その特徴的な症状として以下のようなものが挙げられます。

  • 歩き始めるのが遅い
  • 歩くときに足を引きずったり、足を付くたびに肩を落としたり、お腹とお尻を突き出したりする

このほか大腿骨頭が後ろへずれるため、おしりの方へ骨の出っ張りがあります。また、片足だけ脱臼している場合は左右で足の長さが違ったり、お尻から足にかけての形が左右で違ったり、股のところのシワのでき方が違ったりします。

図解:開排運動

股関節の動きに関しては、膝を曲げた状態で股を左右に開く「開排運動」だけに不具合が見られます。うまく開けなかったり動かすときに雑音がしたりします。

脱臼があっても痛みは生じないため、親がなかなか気づきにくい病気です。赤ちゃんの様子を注意深く観察しておく必要があります。

2.先天性股関節脱臼とは 〜 特徴や原因

生まれつき股関節の片方または両方が外れている病気が先天性股関節脱臼です。
生まれてくる赤ちゃんの0.3%前後に発生し、女児が男児の約10倍と多く見られます。
股関節の「大腿骨頭」が後ろ(背中側)にズレているものが大半で、通常はしっかりはまっているが動かす時に外れるケースもあります。


股関節周辺の構造と脱臼が起こる箇所
画像:股関節・仙腸関節の図解と各部名称 股関節で脱臼が起こる箇所

◆原因

股関節に負担をかける要因
(クリックで拡大)
赤ちゃんの抱き方・オムツと衣類

  1. 生まれつきの異常
    関節の形が正しく形成されない、関節の連結力が弱い、関節面に何かがはさまっているなど
  2. 股関節への負担
    生まれた直後やオムツを取り替える時に足を強く引っ張ったり、腰を下から支えずに抱いたりすることによって脱臼することがあります

◆膝や股関節の痛みにつながる

先天性股関節脱臼は、ひざや股関節の痛みを伴う障害「変形性股関節症」の原因の一つとしても知られています。
変形性股関節症は、股関節を形成している骨や軟骨がすり減ったり形が変わったりする病気で、股関節の動きが悪くなるほか、股、お尻、太もも、ひざの上などに痛みが発生し、放置すると痛みで足を引きずって歩くようになります。

日本人の変形性股関節症の大半は、先天性股関節脱臼などの過去の股関節の異常や病気がしっかりと治療されなかったことの後遺症として発症します。大人になってから苦労することにならないよう、ある程度良くなっても油断せずにしっかりと完治させることが大切です。

3.診断・治療・予防

◆診断

幼児の動きや足の形に異常が見られる場合に、医師が指で触れてみることによっておよその見当がつきます。最終的な診断はX線撮影(レントゲン)による画像判定で行います。

◆治療・予防

装具「リーメンビューゲル」
股関節を固定する装具

ズレている骨を元の位置にしっかりはめ込み、股関節を固定する道具(装具)を装着して自然に治るのを待つのが基本です。大抵の場合は装具療法を行うことで股関節の自然な発育をうながすことができます。装具の代わりに添え木や特殊なおむつを使う方法もあります。

症状が重く、こうした治療法では対応しきれない場合は、股関節の位置を矯正するための手術を行います。

股関節の整復がうまくいったとしても、成長してから関節のズレが再発する場合もあるので、しばらくは定期的な検査を受ける必要があります。


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