運動療法3.軽い負荷で全身を動かす有酸素運動

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体力をつけ、肥満や老化も防止する全身運動(有酸素運動)

全身を動かす運動の中でも特に「ウォーキング」と「水中運動」は膝の負担が少ないため始めやすく、様々な健康効果も得られます。これらの運動によって得られる効果、具体的なやり方やポイントについて解説します。

<目 次>

  1. 全身運動の効果と運動時のポイント・注意点
  2. 全身運動1「散歩・ウォーキング」
  3. 全身運動2「水中運動」
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1.全身運動(有酸素運動)の効果とポイント

◆得られる主な効果

◆全身運動を行う際のポイント・注意点

2.散歩・ウォーキングについて

全身運動のうち、最も膝の治療にオススメなのが「ウォーキング」です。手軽に行うことができ、多くの健康効果が得られます。ただし、「膝の痛みが強い」、「歩行障害がある」など、重い症状がないことが条件です。

◆ウォーキングの効果・長所

ウォーキングは他の有酸素運動に比べて膝への負担が軽く、それでいて骨、筋肉、関節などの組織を鍛えて膝の痛みを和らげる効果もあります。実際にウォーキングによって膝の痛みが減少することが医学的にも証明されています。
また、心肺機能を高めたり、血管の老化を防ぐといった、全身の機能を高める効果もあります。行う時間や場所を選ばず、一人で手軽にできます。費用もほとんどかかりません。景色を眺めながら、散歩の延長のように習慣として続けやすいのも大きなメリットです。

精神的な効用も大変大きいです。気持ちよく歩くことでストレス発散、気分転換になります。これらは痛みの軽減にもつながります。外の空気を吸って、太陽の光や風を感じ、眼や耳から外界の色々な刺激が入ってくると、脳の下行性疼痛抑制系が刺激され、痛みをブロックする機能が高まります。また、リズミカルに歩くことでセロトニンという神経伝達物質の分泌を促し、うつの回復・予防効果もあります。

気軽に散歩からはじめよう

ウォーキングといっても、ただ外に出て散歩するだけでも良いので簡単です。家のまわりを一周したり、近所を散策したり、ちょっと長めに歩いたり、どこかに出かけたついでに周辺をちょっと歩いてみたりと色々なやり方があります。1人で気楽に行ってもいいですし、夫婦や仲の良い友人たちとでもいいでしょう。良い景色を眺めたり、楽しいおしゃべりをしながら歩ければより楽しくなります。
最初は無理せず歩ける時間と距離で行い、慣れてきたら徐々に長くしていきます。最終的には毎日20〜30分続けられるようになるとよいでしょう。

◆効果を高めるためのポイント


  1. 「運動」であることを意識して歩く
    ただ漫然と歩くより、やや急ぎ足で、少し息がはずんで汗ばむぐらいの速さで歩くのが理想的です。
    あごをひいて胸を張り、腕を大きく振りながら歩きましょう。また、歩くときの姿勢を意識することも大切です。良くない姿勢で歩いていると、かえって痛みを悪化させてしまうこともあります。
  2. 継続して続ける
    歩く時間は一日合計20〜30分程度、1週間に3日以上歩くことを目標にしましょう。
  3. ウォーキングに適した靴をはく
    ウォーキングシューズやスニーカーなど運動用の靴を準備しましょう。 靴底が厚く柔らかいものはクッション性が高く、膝への衝撃を和らげます。また、キツすぎず緩すぎず自分の足のサイズに合ったものを使いましょう。
  4. 動きやすい服装で
    重い服や体をしめつける窮屈な服は避け、軽くゆったりとした服で歩きましょう。汗をよく吸収し、乾きの早い素材を使ったものがお勧めです。高齢者は膝サポーター、手押し車、杖なども活用しましょう。

◆理想的な歩き方

ウォーキングのフォーム



◆注意事項

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3.水中運動について

水中での運動は、浮力によって体重の負荷が減り、膝や足腰の負担が軽くなるため、膝が痛む時でも楽に動けます。運動が苦手な人や肥満の人、関節に不安がある人でも比較的安心して行えます。運動量も相当なもので、水泳ならジョギングと同等以上の運動効果が得られます。

◆水中運動による効果

  1. 水の抵抗で運動効率が高い
    水中での水の抵抗は、陸上の空気抵抗の数十倍です。ゆっくり歩いても脂肪が燃焼され、筋肉アップの効果も高くなります。
  2. 心肺機能を高める
    体全体が常に水圧を受けるため、陸上で運動するときよりも呼吸量が多くなり、心肺機能が鍛えられます。
  3. 水の浮力
    浮力によって関節にかかる負荷が減るため色々な運動がしやすくなります。また陸上と違って転んでケガをする危険性が少なく安全に行えるため、特に高齢者や膝の障害や変形が高度な人にも最適です。
  4. 水温
    水中のほどよい冷たさで血管が収縮し、体温低下を防ぐために熱が生産されます。その結果血行がよくなり新陳代謝も改善されます。

水中運動の主な長所は、「陸上での運動より運動効率が良いこと」と、「膝への影響をあまり気にせず運動できること」です。屋内プールであれば天候に関係なく利用できます。最近のスポーツジムではプールの他にお風呂やサウナも利用できたり、マッサージ機でリラックスできたりと、他の楽しみも増えて運動が継続しやすくなります。

短所としては、近くにプールのある施設がなければできないことや、ウォーキングに比べて施設への移動や準備に手間がかかること、施設の利用料が発生することなどがあります。また、水着に着替えることに抵抗を感じる人もいます。

◆水中運動の種類と特徴

種類おすすめ度特徴
水中ウォーキング膝や腰などに無理な負担がかかりにくく動きも簡単。内容が単調なので飽きることも
アクアビクス水中で行うエアロビクス。水中運動と同じく、無理な負担がかかりにくい。バリエーション豊かで楽しく行える
水泳筋力と心肺機能をアップさせる運動効果はもっとも高い。その分キツく、泳ぎ方によっては膝や腰に負担をかけることもあるので注意。若い人や膝痛の予防目的の人向け
水球競技性が高く、相手と接触することもあるので不向き。本格的なトレーニング向け

水中のエアロビクス「アクアビクス」

水中運動のなかでも、膝や腰に痛みを抱える人にお勧めなのが、水中を歩く「水中ウォーキング」です。特別な技術も必要なく、誰でも手軽に行えます。
具体的なやり方は別項で詳しく解説しています


◆ポイント・注意点

「水泳」を行う場合の注意事項

◆関連項目


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