病院の検査法や診断法

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医療機関で行われる膝の診断と検査

病院などの医療機関で診断を受ける場合、通常いくつかの検査が行われ、その結果をふまえて原因となっている病気や障害を総合的に判断します。
主な診断法・検査法について、その内容を詳しく解説します。

<目 次>

  1. 基本的な診断法
  2. 詳細な診断法
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1.基本的な診断法「問診・視診・触診」

医療機関における診断では、医師が患者の体の状態、具体的な症状・病状を確認することから始まります。そのために行われるのが「問診」「視診」「触診」です。これらの診断法によって膝の痛みの原因を予測します。痛みや患部の状態に特徴的な症状が現れる障害であれば、この時点で原因をほぼ特定できることもあります。

◆問診(もんしん)

患者の病状を知るために、医師から自覚症状などについて様々な質問します。
聴き取りの内容から原因をおおまかに予測し、治療方針を決めるための最初のステップになります。
また、患者とじっくり話をすることは、患者の不安を和らげたり、診断に対する満足感を高めたり、お互いの信頼関係を深めることにもつながります。

問診で聴かれる主なポイント

患者も積極的に協力する姿勢が大事

十分な問診を行うためには長い時間がかかり、診察する医師にも豊富な知識と経験が必要です。しかし実際には病院側の事情から患者1人の診察に多くの時間を費やしたり、経験豊富な医師を常駐させるのは難しいでしょう。全て医師まかせにするのではなく、事前に自分の症状や病歴を詳しく把握してメモを準備しておくなど、患者自身も積極的に診察に協力して医師と一緒になって治していこうという心構えが大切です。

◆視診(ししん)

痛みが起きている箇所やその周辺の皮膚の状態を、目で見て異常がないか確認します。視診で見る主なポイントは以下のとおりです。

◆打診(だしん)・触診(しょくしん)

患部を手で触ったり動かしたり叩いたりして反応を見るものです。以下のようなポイントを確認します。

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2.詳細な検査法「血液検査や画像検査」

問診、視診、触診といった基本的な診断を行った結果、原因を特定するためにより詳しい検査が必要と判断される場合、症状に応じて様々な検査が実施されます。

◆血液検査

腕から注射器で血液を採取し、その成分を調べます。
膝の障害では、「白血球の量・赤沈(赤血球沈下速度)・CRP(C反応たんぱく)」の値から炎症反応があるかどうかを調べ、原因を大別します。

◆関節液検査

ひざに水がたまっている場合には、ひざ関節に注射をして関節液を採取し、その色や成分を調べます。
関節液は無色透明で粘り気のある液体で、膝関節内に少量存在します。病気や障害によって関節に炎症や内出血が起こると、関節液の色や成分に変化が現れるため、病気の種類や診断をする際の参考になります

画像検査法

放射線や磁気などを利用して膝内部の状態を画像で映し出し、異常を視覚的に確認するものです。

◆X線検査(レントゲン)

X線またはレントゲン線と呼ばれる電磁波(放射線の一種)を照射し、ひざを正面や横から撮影して骨や関節の状態を調べます。硬い骨や骨腫瘍しか映らず、軟骨や筋肉、靭帯、半月板などは映りません。以下の様なことが分かります。

例えば、変形性膝関節症は軟骨がすり減って骨と骨のすき間が狭くなったり骨が変形する障害なので、X線検査だけでほとんど診断がつきます。

<主な特徴>

◆MRI検査

「核磁気共鳴画像法」を略して「MRI」と呼び、磁気の力によって対象物の断面を写真のように表示する画像検査法です。
X線検査では骨や骨腫瘍などの硬く密な組織の撮影に優れているのに対し、MRIでは軟骨組織や靭帯、筋肉、神経といったやわらかい組織を鮮明に映すことができ、関節内の炎症も確認できます。そのため他の病気の可能性があるときや、手術などで詳しく調べる必要があるときに行われます。

脳や脊髄、骨に囲まれた臓器でも鮮明に写すことができますが、反面、骨そのものは映らないため、骨の状態を詳しく診るには不向きです(周囲の臓器や器官との対比で形状は分かる)。
MRIでは以下の様なことが分かります。

◆CT検査

主にX線(放射線)を利用して全身を調査する機器「CT機器」を使い、得られた人体の内部情報をコンピュータ上で処理し、立体的・断層的に画像表示する検査法です。「コンピュータ断層撮影」の略称が「CT」で、一般にCT検査やCTスキャンと呼ばれます。

レントゲンでは不可能な方向からも身体を撮影でき、三次元の立体画像も描き出せるので、骨の形態を詳細に見ることができます。また、筋肉や軟骨なども観察することができます。関節の広さを計測したり、人体が骨化しているかどうかなどを確認することも可能です。

<主な特徴>

◆造影検査(ぞうえいけんさ)

造影剤という医薬品をあらかじめ患者に投与してからX線、MRI、CTといった画像検査を行うもので、造影X線検査、造影MRI、造影CTなどと呼ばれます。
造影剤を使うことで、検査結果の画像のコントラストが強まり明暗差がはっきりするため、患部の状態がより明確に分かるようになります。通常の画像検査では患部の状態がぼやけてはっきりしない場合などに行われます。
使用される造影剤は検査法によって様々で、多少の副作用も見られます。造影剤の例として胃の検査で使われる「バリウム」があります。X線を透過しないという性質をもちます。

 

◆骨シンチグラフィー

アイソトープ検査とも呼ばれます。テクネチウムという放射線医薬品の注射を行い、体内から放出されるガンマ線(放射線)を検出して画像化します。放射線の量はX線検査等と同じく微量で、消失も速いので被曝を心配する必要はありません。

特にガンの検査で良く用いられ、X線検査よりも早期発見が可能であり、治療前・治療後の経過の確認でも欠かせません。その他、疲労骨折や骨粗鬆症に伴う骨折、骨腫瘍や骨の炎症の有無を調べるのにも大変役立ちます。「他の検査では発見しにくい箇所でも病気を発見できる」、「各臓器の機能、病気の状態がわかる」といったメリットがあります。
薬が全員に行き渡るまで約3時間、その後の撮影に約30分と、時間のかかる検査です。

◆関節鏡検査(内視鏡検査)

メスで膝に小さな穴や切り込みを作り、関節鏡(関節内部を観察するための内視鏡)と呼ばれる光ファイバーを使った小さなカメラ差し込み、関節内の状況をモニターで確認する検査法です。
ちなみに、更に数カ所の小さな穴を開け、そこから細い手術器具を挿入して行う手術法を関節鏡視下郭清術といいます。
半月板損傷や靭帯損傷などで損傷のより詳しい状況を調べたい場合や、他の画像診断法では患部の状態が良くわからない場合などに行われます。

その他の検査法

◆生体組織診断(生検)

病気に侵されている細胞の組織を、専用の細い針を使って一部採取して顕微鏡で調べる検査法です。「生検(せいけん)」や「バイオプシー」とも呼ばれます。
膝障害の場合だと、骨軟骨腫骨肉腫の診断において骨にできた腫瘍が悪性のもの(ガン)かどうかを調べるのに行われるケースなどがあります。

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