グルコサミン、コンドロイチン、コラーゲンの効果

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サプリメントは本当に膝の痛みに有効?

サプリメントの効果について

膝の痛みに効くとされる様々な成分を含んだサプリメントが次々と開発・販売されています。テレビのCMや雑誌の広告などで「膝関節の痛みに有効」、「長年苦しんだつらい痛みが消えます」といった宣伝文句とともに紹介されているのをよく見かけます。
実際のところ、どんな症状に対してどういった効果が見込まれるのか、有効成分にはどのようなものがあるのか、具体的に解説します。

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◆サプリメントに含まれる成分とその効果・効能

ひざの痛みを軽減・解消する効果があるとされている成分の主なものには、グルコサミン、コンドロイチン、コラーゲン、ヒアルロン酸があります。これらは軟骨の成分の一部として存在するもので、関節痛に対するサプリメントとして数多くの製品が販売されています。


1.グルコサミン

グルコサミンは、糖にアミノ酸が結びついた単糖類の一種で、コンドロイチンの構成成分でもあります。人の軟骨の成分の一つで、自然界ではカニやエビ、貝の殻、動物の骨などに多く含まれています。

<効果・効能>

海外の研究結果によると、初期や中期の変形性ひざ関節症、つまりひざ関節の老化や変形がひどくない状態であれば痛みを和らげる効果があるとされています。しかし関節の破壊や変形が進み重症化しているケースや慢性的なひざの痛みに対しては、ほとんど効果が見られません。

グルコサミンには、すり減った軟骨を補修したり新たに作り出すような効能はなく、痛みの元となっている関節組織の炎症を抑える効果によって痛みを緩和していると考えられています。軟骨などの血管が通っていない組織には口から摂取した成分は浸透しないため、一度壊れた組織は再生しないというのが定説です。将来的にはiPS細胞などを使った再生医療によって軟骨も再生できるようになると期待されています。

グルコサミンはエビやカニに含まれるキチン質が原料であるため、甲殻類にアレルギーがある人は注意が必要です。また、糖であるため血糖値などに影響が出る可能性もあります。

2.コンドロイチン

コンドロイチンは多糖類で、たんぱく質などと結びついて軟骨、皮膚、脳など多くの組織にに存在しています。

<効果・効能>

グルコサミンと同じく、初期や中期の変形性ひざ関節症の痛みを和らげるとのデータがあります。重症や長期の患者に対しては効果が見られないという点でも同様です。
グルコサミンよりも効果が出るのに時間がかかり、有効ではないとの研究結果もあり評価が定まっていません。

3.コラーゲン

たんぱく質の一つで、体の成分として皮膚、骨、軟骨、腱、靭帯などあらゆるところに存在しています(全たんぱく質の約30%)。そのうち約20%が骨や軟骨にあると言われています。ゼラチンの主成分で、化粧品、医薬品などにもよく用いられています。 

<効果・効能>

コラーゲンは保湿効果が極めて高いタンパク質であるため、皮膚からの水分の蒸発を抑えて肌の潤いを保つ目的の「化粧品」としての効果は非常に高いです。しかしサプリメント商品の宣伝文句でよく見られるような、「皮膚の張りを保つ」、「関節の痛みを改善する」といった効果については医学的な効果・有効性は認められていません。

コラーゲンは牛や豚などの動物の組織から抽出する動物性コラーゲンや、魚が原料の海洋性コラーゲン、植物由来の植物性コラーゲンなどがあり、これらにアレルギーのある人は注意が必要です。

4.ヒアルロン酸

ヒアルロン酸は軟骨や関節液に含まれている成分です。
関節液は関節に滑らかさと弾力性を与えて関節がスムーズに動くのを助る働きがあり、主成分のヒアルロン酸が加齢によって不足すると、軟骨がすり減って炎症・痛みのもととなります。そのためヒアルロン酸の注射は、膝の痛みの有効な治療法として医療機関でよく行われています。

しかし、「飲むヒアルロン酸」などのドリンク類やサプリメントでは医学的な効果は認められていません。コラーゲンと同じくアレルギーを起こしやすい人は摂取に注意してください。


◆サプリメントの効能 − まとめ

長所(メリット)


  • 軽度のひざ痛や、初期・中期の変形性ひざ関節症に対しては一定の効果が認められる
  • ショップなどで手に入りやすく、手軽に摂取できる

短所(デメリット)


  • 関節の変形が進んだ重度のひざ関節症や、長年痛みが続いている慢性痛には効果が薄い、または無い
  • 薬に比べて治るまでに時間がかかる傾向がある
  • 成分や原料によってはアレルギーを起こすことがある
  • 他の薬との飲み合わせで、健康を害する恐れがある

日本においてサプリメントは「健康補助食品」や「栄養補助食品」として取り扱われています。つまり食品や栄養剤の一つであって、病院で処方されるような薬ではありません。よって薬と同じ効果を期待することはできません。もちろんすり減った軟骨や骨の変形をもとに戻すようなこともありません。
しかし、軽度の痛みや症状に対しては十分効果があり、今以上に軟骨がすり減らないようにするといった予防目的でも助けになるでしょう。関節ではなく関節周囲の筋肉や腱の痛みを軽減した例もあります。

<注意点>

サプリメントは医薬品と違って「食品」扱いであるため、効用や副作用の検査・報告の義務がなく、摂取については自己責任です。成分、含有量、販売元、問合せ先などの説明書きはしっかりチェックし、用法・容量をしっかり守って摂取しましょう。心配な場合は医師や薬剤師に相談するとよいでしょう。
特に一度に大量に摂取したり、多種類を摂取するのはやめましょう。また服用中の薬がある時は、必ず事前に医師に相談してください。

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