離断性骨軟骨炎でひざが痛むケース

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離断性骨軟骨炎とは(症状・原因・治療)

膝の痛みを引き起こす可能性のある障害の一つに「離断性骨軟骨炎(りだんせいこつなんこつえん)」があります。
ここでは膝の痛みとの関係を交えながら解説します。

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1.離断性骨軟骨炎が疑われる症状

膝の痛みのほかに以下のような特徴や症状が見られる場合、離断性骨軟骨炎が発症している可能性があります。

ひざの痛みと可動域制限

  • 急に膝が動かなくなる(一定の角度以上に伸ばすことができなかったり、曲げることができなかったりなど)。同時に膝に激しい痛みを感じる
    →膝を動かした時だけ痛み、安静時はほとんど痛みがない
  • 膝に何か挟まっているような感じがして動かしずらくなる

以上のように、膝の動きが悪くなるのが一番の特徴です。痛みに関しては、病気の初期はひざ関節に軽い痛みを感じる程度ですが、病状が進むと運動・スポーツ時にも痛んだり、階段の昇り降りや歩行時にも痛みを感じるようになります。
そのほか関節が腫れて熱をもったり、関節のだるさ、関節に水がたまる(関節水症・関節水腫)などの症状が現れることもあります。

2.離断性骨軟骨炎とは 〜 特徴や原因

ジャンプや走りが多いスポーツで起こりやすい

骨の先端にある軟骨部分が壊死して骨の一部といっしょにはがれることで起こるスポーツ障害です。特に10代の成長期の男子に多い障害で、発生率は女子の2倍とも言われています。10〜20代の若年層に多いですが、幼児や高齢者にも見られます。

膝関節に最も多く発症し、ランニングやジャンプを行う競技の選手に多く見られます。
ほかには肘関節にも多く、股関節・足関節に発生することもあります。特に肘に起こる離断性骨軟骨炎は「野球ひじ」、「テニスひじ」、「ゴルフひじ」などと呼ばれ、これらのスポーツを行う人によく見られます。ゴルフでは大人にも多く発生します。

<発症しやすいスポーツ>

  • 野球、サッカー、バレーボール、バスケットボールなど

◆原因

運動中に、走行、跳躍、関節のひねり・回転など、膝の関節に衝撃が加わる動作を繰り返し行うことで、関節の負担・疲労が蓄積して起こると考えられています。

骨の欠片が関節に挟まる「関節ねずみ」

関節に繰り返し衝撃が加わると、軟骨と骨の間がはがれる「剥離骨折」が起こります。この段階ではスポーツ時やスポーツ後に軽い痛みがある程度です。
しかし、軟骨が骨の一部といっしょに完全にはがれると、それが関節内遊離体(いわゆる関節ねずみ)となって、関節の中を移動します。すると関節の色々なところにはさまり、急に関節が動かなくなるロッキング現象が起こります。多くの場合、同時に膝に激しい痛みが発生します。

何かの拍子にかけらが外れると痛みやロッキングは治まりますが、何度も繰り返す可能性が高く、その回数が増えるほど膝の劣化が進み、膝の変形性関節症を起こしやすくなります。


摘出された関節内遊離体
関節ねずみの実物写真

かけら(遊離体)の大きさは1〜2cmほどのものが多いですが、関節液の栄養を吸収して大きくなることがあります。逆に自然に消えたり小さくなることはありません。

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3.診断・治療・予防

◆診断

問診や触診で膝の腫れ、痛み、ロッキングなどの症状を確認し、離断性骨軟骨炎が疑われる場合はX線撮影(レントゲン)による画像診断で骨・軟骨の剥離や、かけらの有無を確認します。
軟骨のみの骨折であったり、他の障害との区別が困難な場合はMRIなどの詳細な検査も行われます。

◆治療

骨や軟骨の変形・破壊が軽度であったり、骨の再生・回復の早い成長期に発生した場合は、サポーターやギプスなどの装具で膝を固定して安静を保つ保存療法で経過をみます。軽度の症状なら大抵はこれで治ります。

関節鏡を使った手術
内視鏡をひざ関節に差し込んで手術を行う

骨が再生しにくく治りにくい大人の場合や、激しい痛みやロッキング状態が見られる場合は、骨の欠片(関節内遊離体)を取り除く摘出手術が行われます。
手術は光ファイバーを使った小さなカメラを膝の中へ入れて行う「関節鏡視下手術」が主になります。通常の手術に比べて切開する傷口が小さくて済み、体にかかる負担が少なく短時間で済むメリットがあります。かけらが小さく数も少なければ1時間前後で終わります。手術でかけらを取り除いてしまえば、すぐに膝が動くようになり間もなく痛みも消えてゆきます。その後は元通りに運動することもできます。

◆予防

離断性骨軟骨炎の原因は、膝の使いすぎ(オーバーユース)による関節の負担の蓄積です。「運動中は定期的に適度な休憩を入れる」、「同じ練習・動作を連続して繰り返し行わないよう気をつける」、「下半身の筋力トレーニングによる膝の強化とストレッチングによる柔軟性の向上」などが予防につながります。
関節に違和感を感じたら無理をせずにすぐに運動を中止して様子をみるか、ひどいようなら必ず医師の診察を受けましょう。

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