軟骨肉腫でひざが痛むケース

『膝の痛み』タイトル
膝の痛みを症状から調べる 膝の痛みを原因から調べる
サブメニューに移動
膝の痛みの対策と予防 イラスト図解:膝関節の構造・骨格・筋肉 膝の痛みの体験談

軟骨肉腫とは(症状・原因・治療)

膝の痛みを引き起こす可能性のある障害や病気の一つに「軟骨肉腫(なんこつにくしゅ)」があります。
ここでは膝の痛みとの関係を交えながら解説します。

スポンサーリンク

1.軟骨肉腫が疑われる症状

膝の痛みのほかに以下のような特徴や症状が見られる場合、軟骨肉腫が発症している可能性があります。


  • 膝に大きな「こぶ」ができ、そこから痛みを感じる

腫れあがった膝
画像:軟骨肉腫ではれた膝

膝に「腫れもの」や「こぶ」ができて、それが徐々に大きくなってきて痛みを感じるようになった場合、良性の骨の腫瘍(骨軟骨腫)が悪性の腫瘍(肉腫・がん)に変わった可能性があります。
骨軟骨腫とは、骨の表面の組織が増殖・変形して、でっぱりやこぶを形成するものです。

腫瘍が大きくなるほど痛みが増し、かなりの大きさになると関節の邪魔になって動きが悪くなったり、骨がもろくなって骨折したり、それに伴う激痛を生じることもあります。

2.軟骨肉腫とは 〜 特徴や原因

<肉腫と腫瘍について>
「肉腫(にくしゅ)」とは、骨、軟骨、筋肉、血管、脂肪、神経などに発生する悪性腫瘍のこと。皮膚や粘膜にできる悪性腫瘍は癌(がん)と呼ばれ区別される。

「腫瘍(しゅよう)」とは、体の細胞が異常に増殖して大きくコブ状になったもので、人体に悪影響を及ぼさない良性腫瘍と、近くの組織に転移して体を破壊しながら増え続けていく悪性腫瘍がある。骨組織に発生する腫瘍は骨腫瘍(こつしゅよう)と呼ばれ、良性の骨腫瘍は「骨軟骨腫」、「内軟骨腫」など20種類以上がある。悪性の骨腫瘍は「骨肉腫」、「軟骨肉腫」、「ユーイング肉腫」などがあり、他器官への転移が見られる。発生頻度は良性骨腫瘍が圧倒的に多い。

軟骨肉腫とは、その名のとおり軟骨部分にできる悪性腫瘍です。

◆原因

軟骨肉腫が発生するケースは主に二つあり、一つは軟骨を作る細胞がガン化するケースで、もう一つは以前からあった軟骨の良性腫瘍(骨軟骨腫)が悪性に変化するケースです。軟骨や良性腫瘍がどういった原因でガン化するのかは分かっていません。

◆その他の特徴

悪性腫瘍といっても悪性の度合いは低く、腫瘍の成長スピードも遅めです。肺などの他の臓器への転移も、治療を行わずに放置して腫瘍が非常に大きくなった場合に稀(まれ)に見られる程度です。

軟骨肉腫は、骨の悪性腫瘍のなかでも「骨肉腫」の次に発生数が多く、全骨腫瘍の約5〜20%、全悪性骨腫瘍の約10〜15%を占めます。
20〜60歳代と幅広い年齢層の人に発症します。中でも40歳以上の中・高年に比較的多く見られ、全体の半数近くを占めます。男女比では男性が女性の約2倍と多めです。

軟骨肉腫がよく発生する部位は、大腿骨(膝の太ももの骨)、上腕骨(ひじから肩にかけての骨)、骨盤、肋骨、肩甲骨、扁平骨で、全体の7〜8割を占めます。

◆骨の悪性腫瘍の種類

骨肉腫のほかに、骨にできる「骨肉腫」、骨や筋肉を支えている線維組織にできる「繊維肉腫」、骨を破壊しながら増殖する「ユーイング肉腫」などがあります。

スポンサーリンク

3.診断・治療・予防

◆診断

膝にできた腫瘍(MRI写真)
画像:大腿骨の軟骨肉腫

X線撮影(レントゲン)による画像から腫瘍の存在と骨の破壊を確認します。腫瘍の内部に石灰化が見られるのが特徴です。
最終判断は、腫瘍組織の一部を採取して顕微鏡で調べる「生検(せいけん)」によって行います。
その他、CTスキャン、MRI、骨シンチグラフィーなどの画像検査が補助的に行われることもあります。

◆治療・予防

一般的な癌(がん)の治療では、抗がん剤を投与して癌の成長と症状の進行を抑えながら、がん細胞を収縮させるする「化学療法」、がんの病巣を取りのぞく「手術療法」、放射線を照射してがん細胞を死滅させる「放射線療法」の3つを状況に応じて組み合わせながら行います。

しかし軟骨肉腫の場合、悪性度が低いために化学療法や放射線療法はほとんど効果がありません。よって手術によって悪性腫瘍を取りのぞく治療法が一般的です。
悪性腫瘍を周囲の正常な組織を含め広範囲に切除した上で、正常な部分を戻したり、人口骨や人工関節で置き換えるなどの再建術を行い、腕や脚を極力切断しないで済むような患肢温存(かんしおんぞん)手術が行なわれます。
腫瘍が大きくなりすぎていたり、他組織への転移が認められる場合は、やむをえず手足の切断術が行われることもあります。

手術を行った人の5年後の生存率は、他の臓器への転移が見られなかった場合で約60〜70%です。
悪性度の低さや、転移があまり見られないといった特徴から、骨肉腫と比べると重症化するケースは少なめです。それでも放置すれば生命にかかわる病気ですので、膝の異常や痛みが長期間続く場合は早めに整形外科を受診することが重要です。

関連項目

膝の痛みを伴う骨の腫瘍

スポンサーリンク

ひざ関節の構造(クリック拡大)
@
イラスト図解:膝関節の構造・位置・名称
A
ひざを構成する組織:半月板・靭帯・骨・軟骨
トップに戻る