関節リウマチでひざが痛むケース

関節リウマチとは(症状・原因・治療)
膝の痛みを引き起こす可能性のある障害や病気の一つに「関節リウマチ」があります。
ここでは膝の痛みとの関係を交えながら解説します。
1.関節リウマチが疑われる症状
膝の痛みのほかに以下のような特徴や症状が見られる場合、関節リウマチが発症している可能性があります。
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その他の症状として、「熱が出て全身がだるくなる」、「膝に水がたまって腫れる(関節水症)」、「ひざの皿(膝蓋骨)の表面に指先くらいの大きさのしこり(皮下結節)ができる」、「強く痛んだり弱く傷んだりと痛みが一定でない」 などがあります。
似たような症状を示す病気に、「変形性関節症(変形性膝関節症、変形性股関節症)」があります。
2.関節リウマチとは 〜 特徴や原因
関節リウマチとは、関節に炎症が起こり、やがて炎症が全身に広がって全身の関節が壊れてしまう病気です。
炎症が起こると関節の軟骨や骨の破壊が進み、徐々に変形していきます。関節リウマチを発症するのは30〜50歳代の人が多く、特に女性が男性の約3倍と女性の患者が多いのが特徴です。
◆炎症が起こる原因
人体にはウイルスや細菌などの外敵から体を守るための作用である『免疫(めんえき)システム』が備わっています。
このシステムに異常が発生し、正常なはずの自分の関節を異常なものと勘違いして攻撃するために炎症が生じるとされています。
こうした免疫システムの異常が起こる原因については未だにはっきりと分かっていません。
このように、免疫系が自分自身の正常な細胞や組織に対してまで過剰に反応して攻撃することが原因で起こる病気のことを「自己免疫疾患」または「自律免疫疾患」と呼びます。
◆その他の特徴
関節リウマチにおいて免疫システムが攻撃対象とするのは、関節を包む膜である「関節包」の内側の滑膜という組織です。炎症が進むと滑膜が増殖し、関節軟骨や骨にまで侵入していって破壊し始めます。
これが進行すると関節軟骨が完全に破壊され、骨どうしがくっついて関節が動かなくなることもあります。
関節リウマチは発症後2年間が最も進行速度が早く、この時期に軟骨や骨の変形・関節の破壊が起こります。炎症が起こった滑膜が完全に破壊されて無くなってしまった後は、炎症もおさまり痛みは感じなくなります。
以上のことから、できるだけ早く診断を受けて治療を開始することが大切です。
3.診断・治療・予防
◆診断
主に血液検査とX線検査(レントゲン)が行われます。
血液検査では、「リウマチ因子(リウマトイド因子)」と呼ばれる抗体の有無、白血球の増加、血小板の増加、C反応性蛋白(CRP)上昇などを調べます。そのほか、X線撮影やCTスキャン、MRI、超音波断層検査などの画像検査で、骨や関節の変化が見られるか確認します。
これらの検査はあくまで補助的なものです。リウマチ以外の病気でも同じような診断結果になることはあるので、これだけで診断を確定させることはできません。最終判断には以下に示す「米国リウマチ学会(ACR)の診断基準」が良く用いられます。
下記の7つの項目のうち、4つ以上に該当した場合に関節リウマチと診断されます。
- 関節のこわばりが、朝一時間以上続く
- 3ヶ所以上の関節に腫れが見られる(多関節炎)
- 手指や手首の関節に腫れが見られる
- 左右対称に関節が腫れる
- 皮膚の表面にしこりが見られる(リウマチ結節、皮下結節)
- 血液検査でリウマチ反応(リウマトイド因子)が陽性
- レントゲン検査で骨や関節に異常が見られる
◆治療・予防
関節リウマチの治療は、炎症を鎮める効果のある薬を投与する薬物療法が中心です。
抗リウマチ薬、非ステロイド性消炎鎮痛薬、ステロイド薬などが使われます。近年では強力な抗リウマチ薬を使った「抗サイトカイン療法」という治療法が注目され、特に発症してから2年以内の患者さんに対し、早い時期に症状を収束できる大きな効果をあげています。
薬物療法と並行して、関節の炎症を抑えて痛みを軽くするとともに動く範囲を広げるための治療が行われます。関節を動かす体操を行う運動療法、温めて血行を良くする温熱療法、ギプスなどで関節を固定する装具療法などです。
装具などを使って関節の負担を減らすことも大切ですが、まったく動かさないのもよくありません。適度に動かすことで関節を柔軟にして痛みを軽くできる場合もあるため、運動療法も交えて治療を進めることが重要です。
【関連項目】