ひざの靭帯の主な働き・怪我・治療

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膝の痛みの対策と予防 イラスト図解:膝関節の構造・骨格・筋肉 膝の痛みの体験談

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膝の靭帯の種類・機能・障害

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1.靭帯とは〜ひざの4本の靭帯

靭帯とは、骨と骨とをつなぎ離れないようにしているすじ状の結合組織です。薄く硬い丈夫なゴムのようなもので、筋肉のように自由に伸び縮みする伸縮性はありません。膝を安定させるだけでなく、動きを制御する働きももちます。
膝には、関節の前と後ろ、内側、外側に、それぞれ「前十字靭帯」「後十字靭帯」「内側側副靭帯」「外側側副靭帯」の4本の靭帯があります。


膝の靭帯「位置・名称・構造」(クリック拡大)
ひざを構成する組織:半月板・靭帯・骨・軟骨画像:ひざ靭帯の解剖図

2.前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい)について

◆位置・機能

イラスト図解:前十字靭帯損傷の位置・構造

「大腿骨(太ももの骨)」〜「脛骨(膝下の骨)」の前部に付いている靭帯で、膝の上下の骨をつないで膝が前後に揺れるのを防ぎ安定性を確保しています。
主な機能は、「脛骨の前方移動の制御」、つまり脛骨が前に飛び出すのを防ぐことと、膝をねじる・回転させる「回旋動作」のコントロールです。

◆生じるケガ・損傷・障害

膝の前後方向への力「剪断力(せんだんりょく)」と、ねじる力「回旋力(かいせんりょく)」のコントロールを担当する前十字靭帯には、歩く・走る・ジャンプする・スクワットをする・方向転換するといった動作で負荷がかかります。
前十字靭帯が傷ついたり、ひどい時には切れてしまう(断裂)ケガを「前十字靭帯損傷」と呼びます。膝のスポーツ障害の中でも特に重い症状で、スポーツ選手なら選手生命にもかかわるケガです。

前十字靭帯損傷が起こるケースは、「接触型」「非接触型」の大きく二つがあります。
「接触型」は膝に物がぶつかった衝撃で靭帯が損傷するものです。事故のほか、スポーツにおけるタックル・スライディングなどで膝が内側に曲がったり、膝が伸びきった状態から更に伸ばされるような力が加わることで起こります。
「非接触型」は運動・スポーツ時に、急停止、方向転換、ジャンプの着地時などに起こります。サッカーやバスケットボールで急激な切り返しをしたり、バレーボールのスパイクやブロック後に素早く体の向きを変えた時に膝が大きくひねられて損傷します。接触型のケガの方が割合的に多いと言われています。

発症しやすいスポーツ

  • 野球、サッカー、バレーボール、バスケットボール、ラグビー、スキー、格闘技など

◆特徴的な症状

膝の力が抜ける・崩れる

損傷時にひざが抜けるようなズレるような感覚があり、「ブチッ」「バチッ」「ボキッ」といった断裂音が聞こえることもあります。時間経過とともに関節内に血液がたまると、患部がはれたり、膝が曲げにくくなります。
急性の症状が落ち着いた後には、急停止や方向転換など膝を使う時にぐらつきを感じたり、歩いていて突然ひざがガクッと崩れる「ひざ折れ・ひざくずれ」が見られます。
痛みについては、損傷時に大きな痛みを感じ、その後は膝を大きく曲げたり体重をかけた時に痛みます。

◆治療

靭帯が切れていなければ、膝関節をギプスやサポーターで固定して安静を保つ保存療法をとります。靭帯は完全に切れると自然に再生はしないため、激しいスポーツなどができるほどに回復させるには手術を行うほかありません。「再建手術」といって、膝まわりの腱を一部切り取って靭帯の代わりに使う手術が主となります。日常生活や軽い運動程度であれば、手術を行わずに患部の固定と膝周りの筋肉を鍛えることでも十分ひざの機能を回復させることができます。

3.後十字靭帯(こうじゅうじじんたい)について

◆位置・機能

前十字靭帯とクロスする形で付いている靭帯で、前十字靭帯といっしょに大腿骨と脛骨をつないでひざが前後に揺れるのを防ぎ安定性を確保しています。
主な機能は、脛骨が後ろにずれないように安定させることです。

◆生じるケガ・損傷・障害

損傷のメカニズム
後十字靭帯が痛む原因

後十字靭帯は前十字靭帯よりやや太く、ケガの頻度は少なく断裂などもあまり見られません。それでも前十字靭帯損傷と同時に起こることや、単独でも選手生命に関わるような大きな怪我につながることもあります。

サッカーやラグビーなど、他選手との接触が多いスポーツで見られやすいです。以下の様な場合に損傷が起こります。

  • 膝から地面に落ちたり、膝下を前から蹴られるなど、脛骨が後ろにズレるような衝撃が加わった時
  • 膝が動く範囲(可動域)を超えて曲がったり伸びた時
  • 足がまっすぐに固定された状態で膝が内側に曲がったり(外反)、外側に曲がったり(内反)した時

◆特徴的な症状

前十字靭帯損傷のケースとほぼ同じです。膝が不安定になり前後のぐらつき(特に後方)が見られ、ケガから時間がたつと関節内に血液がたまって腫れ、膝を曲げにくくなります。
また、体育座りのように膝を立てて座った時に、脛骨が後ろに落ちたように見えるのも特徴です(実際に脛骨が後ろにずれているため)。

発症しやすいスポーツ

  • サッカー、バスケットボール、ハンドボール、ラグビー、アメリカンフットボール、格闘技など

◆治療

膝関節をギプスやサポーター、テーピング等で固定して安静を保つ保存療法が基本です。
それでも膝が不安定なままであったり、スポーツ選手など膝の機能を完全に回復させる必要のある人の場合は。膝まわりの腱を一部切り取って靭帯の代わりに使う「再建手術」が行われます。

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4.内側側副靭帯(ないそくそくふくじんたい)について

◆位置・機能

膝の内側にあり、大腿骨と脛骨を結んで膝の左右へのブレを防止している靭帯です。

◆生じるケガ・損傷・障害

損傷のメカニズム
イラスト図解:内側側副靭帯の断裂

膝の外側から内側へ強い力が加わり、内側側副靭帯が伸びて強く引っぱられることで損傷が発生します。膝のスポーツ障害の中でも発生件数が多いケガで、特に球技系のスポーツで多く見られます。前十字靭帯損傷や半月板損傷と同時に起こる(合併する)こともあります。

内側側副靭帯が強く引っぱられるのは、ひざが外側から内側に曲がったり(外反)、ひざから下を外側にひねられたり(外旋)した時で、サッカーやラグビーなどで横からタックルやスライディングを受けた時によく損傷します。ジャンプの着地時や、急激に方向転換を行った時などに同様の動作が加わることでも起こります(非接触型)。

発症しやすいスポーツ

  • 野球、サッカー、バレーボール、バスケットボール、ラグビー、スキーなど

◆特徴的な症状

損傷を受けると、膝関節の内側に痛みと腫れが発生します。怪我の度合いが強いほど痛みも強く、膝を外側にひねった時に不安定感も感じます。

◆治療

応急処置法である「RICE療法」を行った上で膝関節をギプスやサポーターで固定する保存療法が基本となります。「痛みや不安定感の症状が重い」「靭帯が完全に切れている」「複数靭帯の損傷など合併損傷がある」といった場合には、膝の再建手術も検討されます。

5.外側側副靭帯(がいそくそくふくじんたい)について

◆位置・機能

膝の外側を覆う靭帯で、内側の内側側副靭帯とともに膝の左右の安定を保つ働きをしています。

◆生じるケガ・損傷・障害

損傷のメカニズム
外側側副靭帯が損傷する原因

膝の内側から外側へ強い力が加わり、外側側副靭帯が伸びて強く引っぱられることで損傷が発生します。内側側副靭帯に比べるとケガの発生件数が少なめですが、接触プレイの多いスポーツで膝に衝撃を受けたり、格闘技の蹴りや関節技を受けた時などに損傷します。非接触型では、急激な方向転換、ジャンプの着地時などにも損傷が起こります。

外側側副靭帯損傷が単独で起こることはまれで、後十字靭帯損傷や半月板損傷と一緒に(合併して)起こることが多いようです。

発症しやすいスポーツ

  • サッカー、バスケットボール、ラグビー、スキー、格闘技など

◆特徴的な症状

膝関節の外側に腫れが見られ(腫脹)、患部を圧迫された時に痛みが発生します(圧痛)。怪我の度合いが強いほど痛みも強く、膝を内側にひねった時に不安定感も感じます。

◆治療

内側側副靭帯の損傷時と同じく、RICE処置を行った上で膝関節をギプスやサポーターで固定する保存療法が基本となります。「痛みや不安定感の症状が重い」「靭帯が完全に切れている」「複数靭帯の損傷など合併損傷がある」といった場合には再建手術も検討されます。

関連項目


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