鵞足炎でひざが痛むケース

『膝の痛み』タイトル
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膝の痛みの対策と予防 イラスト図解:膝関節の構造・骨格・筋肉 膝の痛みの体験談

鵞足炎とは(症状・原因・治療)

膝の痛みを引き起こす可能性のある障害や病気の一つに「鵞足炎(がそくえん)」があります。
ここでは膝の痛みとの関係を交えながら解説します。

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1.鵞足炎が疑われる症状

膝の痛みのほかに以下のような特徴や症状が見られる場合、鵞足炎が発症している可能性があります。

  • 膝の内側から膝下にかけて痛む

痛みが出る箇所
(右足前面写真)
ひざの内側から下側にかけて痛む鵞足炎

図で示した箇所およびその周辺(裏面)にかけて痛みや腫れが生じてきます。
運動している時、膝の曲げ伸ばしをした時、患部を指で押した時、太もも裏の筋肉「ハムストリングス」の内側を伸ばすストレッチングをした時などに痛みます。
特に、膝をいっぱいにまで伸ばしたときに痛みが起こりやすいことや、階段の昇り降りに支障をきたすことが多いのが特徴です。
初期は膝を動かした時のみ痛みますが、悪化すると、じっとしている時(安静時)にも痛みを感じるようになり、日常生活にも支障をきたします。


2.鵞足炎とは 〜 特徴や原因

鵞足(がそく)について
膝の内側には、縫工筋(ほうこうきん)、薄筋(はくきん)、半腱様筋(はんけんようきん)の3つ腱が集中していて、ハムストリングや内転筋などの筋肉につながっています。腱が集まった状態を後ろ側から見ると、ガチョウの足のような形に見えることから、この部分を「鵞足」と呼んでいます。

鵞足の位置と鵞足炎の発生メカニズム図解:膝関節内の骨・筋肉・腱

鵞足部分に炎症が起こり痛みを感じるものが鵞足炎です。
膝の曲げ伸ばしをするときに膝が内側に入る動作(外反)や、膝から下を外側にひねる動作(外旋)をしたときに、鵞足部分の腱と骨、または腱同士がこすれます。特に、走りながら方向転換をする時にこうした動作が行われるので、鵞足部に炎症が起こりやすくなります。

◆鵞足炎が発症しやすい動作・要因

鵞足炎の危険因子
(クリックで拡大)
図解-外反・外旋・X脚・回内足

ランニングで足を後ろに蹴り出す時、サッカーボールを蹴る時、急な方向転換を行った時などに特に負担がかかります。これらの動作を繰り返すと発症しやすくなります。
方向転換を伴わないランニングでも、急に長距離を走った時などに起こりやすく、また、膝の位置が悪いX脚(内股)があると、外反動作と外旋動作が繰り返されるため発症リスクが高まります。水泳の平泳ぎのキックでも同様の運動が行われるため、平泳ぎは鵞足炎を起こす典型的な動作といわれています。

その他にも、足の内側に重心がかたよるような間違った靴選び、かかとの骨が内側に傾いている「回内足」、衝撃を吸収できないアスファルトのような硬い地面の走行、重心がかたよる坂道の走行なども痛みの原因となります。


<発症しやすいスポーツ>

  • 野球、サッカー、バスケットボール、ラグビー、水泳など
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3.診断・治療・予防

◆診断

「運動時に鵞足部(膝下の内側)痛みがある」、「鵞足部を押さえると痛みを生じる(圧痛)」などの特徴的な症状が見られる場合に鵞足炎と診断されます。
基本的に痛みや腫れといった症状だけですので、膝の不安定性があったり、レントゲンで膝関節の他の組織に損傷が見られる場合は、別の障害の可能性も疑います。

◆治療

軽症の場合は、膝を使う運動を控えて安静を保つことで炎症が治まり、数週間で自然と治ります。
痛みが強い場合は、安静を保ちつつ患部を冷やす「アイシング」を行ったり、シップなどの消炎鎮痛剤を使って炎症を抑えます。痛みが治まってきたら鵞足部の筋肉のストレッチングやマッサージをして筋肉をほぐすのも効果的です。
重症時は痛み止めの注射や電気治療なども行われます。

急に痛みが発生した「急性」の場合は、患部を氷のうなどで冷やし、テーピングで固定するようにします。症状が長く続いて慢性化している場合は、患部を冷やしたり固定・圧迫する行為は血行が悪くなり逆効果なので、患部を温めたり積極的に動かして血行を促進するのが正解です。

鵞足炎は再発しやすいので、焦らずじっくり治療しましょう。

◆予防

鵞足炎の根本的な原因は、膝の使いすぎ(オーバーユース)と、良くない姿勢や動作フォームです。これらを改善することで鵞足炎の予防と再発防止に役立ちます。

ひざの内側を伸ばす柔軟体操

スポーツでは急に練習量、運動量を増やさず、自分のレベルに合ったトレーニングを行い、疲労の蓄積を感じたら十分な休養をとることを心がけましょう。
膝への負担を軽減するために、運動前後のウォームアップ、クールダウンはしっかり行ってください。普段から鵞足部やその周辺(ハムストリングス、内転筋など)の筋力トレーニングストレッチングを行い、筋力・柔軟性のアップを図りましょう。
ジョギングやランニングは、できるだけ柔らかい土の地面や平坦な道で行いましょう。

走行時に膝が内側に入っていないか、かかとが外を向いていないか確認し、正しいフォームづくりをしましょう。X脚などの障害がある人や足の形が悪い人は、シューズの調整や足底板の使用によって重心のバランスを正常に保ちましょう。脚の形に異常のない人でも、靴のサイズは合っているか、十分な衝撃吸収力はあるか、足底が斜めになっていないか確認しておきましょう。

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