痛風でひざが痛むケース

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痛風とは(症状・原因・治療)

膝の痛みを引き起こす可能性のある障害や病気の一つに「痛風(つうふう)」があります。
ここでは膝の痛みとの関係を交えながら解説します。

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1.痛風が疑われる症状

足の親指の激しい痛みが特徴

膝の痛みのほかに以下のような特徴や症状が見られる場合、痛風が発症している可能性があります。


  • 足の親指のつけ根の関節に激痛がおこる(特に多く見られる)
  • 足や膝の関節に激しい痛みがあり、患部が赤く腫れたり熱をもったりする
  • 夜中に膝に強い痛みが起こる

痛風による痛みは、歩けないほどの大変激しいものですが、短いと2〜3日、長くとも1〜2週間ほど続いたあとに何事もなかったかのように急に痛みが治まり、普通の生活ができるようになります。
しかし、一定期間経った後に再び痛みが起き、こうした発作を繰り返す度に痛みは強まり複数の関節に広がっていきます。

足の親指や膝の関節の腫れや痛み

◆症状の悪化と合併症

痛みが繰り返し起こる状態を放置すると、痛みの元である炎症が慢性化して常に痛むようになります。
更に体の他の部位にも関節炎や腱炎が起こったり、ひじ、ひざ、指、手の甲、耳たぶなどに"しこり"(痛風結節)ができたり、アキレス腱炎が生じたり、骨の破壊が起こったりします。
その一方で、尿細管に付着した尿酸が腎臓の働きを阻害するため、慢性腎炎から腎不全を起こしたり、尿路結石ができることもあります。


2.痛風とは 〜 特徴や原因

痛風は食べ過ぎや運動不足が原因で起こる生活習慣病の一種です。
血液の中に含まれている尿酸という物質の量が増加して関節や腎臓などにたまると、痛みの発作や腎臓機能の低下などの色々な症状があらわれます。こうした状態を総称して痛風と呼んでいます。「急性関節炎発作」とも呼ばれます。特に中高年の男性に多く見られ、 患者の約9割が男性です。

<尿酸とは>
尿酸は細胞の代謝の結果として生じる物質「老廃物」の一つで、細胞の核に含まれるプリン体が新陳代謝の際に分解されてできます。プリン体を多く含む食品を摂ることでも体内で作られます。血液中に一定量が存在し、通常は体の中で作られる量と尿とともに排泄される量のバランスが取れていて、一定以上に増えることはありません。水に溶けにくい性質を持っています。

◆原因

何らかの原因で体内の尿酸量が異常に増えてしまうと、水に溶けにくい性質のため体内のあちこちで結晶化します。結晶化した尿酸が関節や腎臓に沈着することで急性の炎症を起こし痛みを発生させます。

血液中の尿酸量が増えるのは、「作られる尿酸の量が異常に増加した時」、「排泄される尿酸の量が減少した時」、またはこの2つが同時に起こった時です。
このように尿酸量のバランスを乱す要因となるものには、『遺伝的な要因』と『特定の病気や生活習慣』の大きく2つがあります。

1.遺伝的要因

特に尿酸値を高めるような生活習慣がない人でも痛風にかかることがあります。そういった人は親も痛風の病歴を持っていることが多く、遺伝的な要因があると考えられています。近年、痛風のきっかけともなる高尿酸血症に関わる遺伝子が各国で発見されています。

2.痛風のリスクを高める生活習慣や病気

痛風の原因となる暴飲暴食・肥満

  • 肥満、食べ過ぎ、お酒の飲み過ぎ、運動不足
    高カロリーの食事やアルコールの飲み過ぎ、運動不足などが尿酸を増やす要因になっていると言われます。こうした生活習慣は肥満につながるため、結果的に太っている人ほど痛風になりやすく、実際に痛風患者には肥満傾向が見られます。

  • プリン体を多く含む食品の摂取
    尿酸はプリン体の摂取によっても体内で作られます。特に痛風リスクを高める食品には、「ビール、砂糖の多い飲み物、レバーなどの内臓類や干物類、豆類、うに、いくら、白子、脂肪分の多い食品、油をたくさん使った料理」などがあります。これらの食品を長期的または大量に摂取するのは避けましょう。同じプリン体でも肉や魚に含まれるものは良くないが、野菜に含まれるものはリスクを高めないといった違いが見られます。

  • 精神的ストレス
    これも尿酸増加の要因とされています。暴飲暴食、運動不足、ストレスなど不健康で不規則な生活スタイルは、痛風に限らず成人病など非常に多くの病気のリスクを高めます。

  • 水分不足
    水分の摂取量が少ないほど、排尿によって体外に出される尿酸の量が減少し、血中尿酸濃度が上がります。日常的に意識して水分を多めに取る必要があります。

  • 高脂血症、高尿酸血症などの血液の病気や糖尿病など
    高血圧症の治療薬として降圧利尿剤を服用していて痛風になることもあります
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3.診断・治療・予防

◆診断

血液検査で尿酸値を調べるほか、関節液を採取して尿酸の結晶があるかどうかを調べます。
痛風患者でも尿酸値が正常なケースもやや見られるため、一つの検査で診断を下さず複数の検査の結果から総合的に判断します。

◆治療・予防

現在のところ痛風そのものを完全に治す方法は確立されていません。
尿酸値を下げて痛風発作を抑えるために、薬の服用や生活習慣の改善を行います。食生活の見直しや適度な運動を習慣付けてゆき、気長に病気と付き合っていく心構えが必要です。尿酸値を下げるための適切な処置を行なっている限り、通常の社会活動を営む上では特に支障はなく、関節炎の悪化や腎不全への移行も防ぐことができます。

投薬治療について

痛風治療で使用される薬剤としては、尿への尿酸の排泄を促進するプロベネシド、尿酸が体内でつくられるのを抑制するアロプリノール、関節痛などひどい痛みがある時に痛みを鎮めるための非ステロイド性消炎鎮痛薬やコルチヒン、抗炎症剤インドメタシンなどがあります。
薬の服用に際して注意しなければならないことに、尿酸の濃度の急激な変化が痛風発作を引き起こすということがあります。濃度が高まった時だけでなく、急激に低下した時にも発作が起こるため、尿酸生成阻害剤や尿酸排出促進剤など、尿酸値を急激に下げる薬は用法・用量を調整して慎重に服用される必要があります。

生活習慣の改善、その他

薬剤を使った治療はあくまで現在の体内の尿酸量を調整したり、痛みを緩和する一時的な処置です。尿酸値を高めている要因を排除して痛みの元を断つには、薬物療法と並行して食事療法や運動療法を行う必要があります。
先に説明した「痛風のリスクを高める生活習慣や病気」の改善を図ります。

規則正しい生活習慣・節制

  • バランスのとれた食生活、節酒、運動で肥満を防止する
    まず暴飲暴食を控えます。高エネルギーの食品やアルコールの摂取は少なくしましょう。更にウォーキングなどの適度な運動を行います。急に激しい運動をすると発作を誘発するので、負担の少ない軽めの運動を継続して行うことが重要です。肥満にならないよう普段から節制を心がけましょう。

  • プリン体や脂分を多く含む食品の摂取を控える
    プリン体は尿酸を増加させます。脂質の摂り過ぎは肥満や高脂血症のリスクを高めます。前述したようなリスク食品を食べ過ぎないよう注意し、野菜・牛乳などアルカリ性食品を多くとるとよいでしょう。

  • ストレスをためない
    現代ではストレスのない生活を送ることは難しいので、溜まったストレスを上手に発散する方法を持ちましょう。自分の好きなこと、楽しいと思えることをするのが一番です。これといった趣味のない人は軽い散歩なども効果的です。たくさん食べることや飲酒でストレス解消を図るのは逆効果なので注意しましょう。

  • 水分をたくさんとる
    尿酸の排泄を促すために水分をたっぷりとって尿量を増やしましょう。水は一度にたくさん摂ると腎臓に負担をかけるので、こまめにとることを心がけます。

  • 患部が熱をもっている時は、冷やして安静を保つことも大切です。

痛風に対する食事療法や運動療法は予防法にもなりますし、痛風以外の病気の発症も抑えます。遺伝的な体質が原因となっている場合は未然に防ぐ事は難しいのですが、危険因子を抑えることは無駄ではありません。

4.偽痛風(ぎつうふう)について

痛風にとても良く似た症状を示す病気に偽痛風があります。
尿酸の代わりにピロリン酸カルシウムの結晶が関節に沈着することで痛みが生じるため、血液検査を行なっても尿酸値は正常です。
膝や股関節などの大きな関節が腫れて熱をもち、動かすと激しく痛みます。痛みの発作は夜間に起こることが多く、安静時にも痛みます。
比較的高齢者に多く見られ、男女の差はほとんどありません。

◆原因

外傷(ケガ)や手術などのストレスによって発作が誘発されると考えられているほか、変形性ひざ関節症と合併して起こることが多いです。発症の詳しい原因はいまだ不明です。

◆診断・治療

関節液を採取して成分を調べたり、X線撮影(レントゲン)でピロリン酸カルシウムの沈着に伴う石灰化像の有無を調べて診断します。
治療は非ステロイド性消炎鎮痛剤を用いて痛みを抑える薬物療法が中心で、炎症が強く痛みが激しい場合は、関節の水を抜いてヒアルロン酸注射などを行います。変形性ひざ関節症の合併が見られる時はその治療も行います。

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