病院で行われる膝の治療方法

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医療機関で行われる主な治療法

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1.治療の流れや分類について

◆治療法の種類

病院などの医療機関で膝の治療を行う場合、症状に応じて様々な治療法が採られますが、内容によって大きく二種類に分けられます。

1つは体を切開したり穴を開けるなどの外科的治療(手術)を行わずに治療を進める方法です。内容や種類は様々ですが、まとめて「保存的療法」と呼びます。組織や臓器そのものや、それらの機能が失われずに"保存"される治療法です。単純に「手術以外の方法」と考えて良いでしょう。

2つ目は患部を切開して様々な処置を施す「外科的療法(手術療法)」です。

◆一般的な治療の流れ

手術でなければ治療できないような重症のケースを除き、初めは症状に応じた保存的療法をいくつか組合せて治療を進めます。一定期間治療を行っても症状が改善されない場合は手術も検討するというのが一般的な治療の流れです。

単純に症状の重さだけでなく、患者自身が症状をどのくらい負担に感じているか、またどんな治療を望んでいるのかも重要です。こうした要因を考慮した上で、どういった治療法が適切か総合的に判断します。


2.保存的療法

保存的療法に分類される治療法を紹介します。

◆薬物療法

ひざの投薬治療

痛みをコントロールするための薬物を服用する治療法です。安静にしていても痛みがとれない場合や、激しい炎症が起きている時などに、これらを鎮める目的で行われます。

炎症を鎮め、痛みを和らげる効果のある「消炎鎮痛剤(痛み止め薬)」が良く使用されます。
通常は副作用の少ない非ステロイド性抗炎症薬が使われ、症状の重いケースに限り、鎮痛効果は大きいが副作用も大きい「ステロイド薬」が使われます。その他、膝関節の動きを良くするヒアルロン酸などもあります。

薬の形態は、患部に直接貼り付けたり塗りつけるタイプの「外用薬」、口や肛門から服用する「内用薬・座薬」、患部に直接注入する「薬物注射」があります。

薬物療法については別項で詳しく解説しています。


◆装具療法(そうぐりょうほう)

ひざを保護するサポーター

膝関節の保護、固定、動きの安定を目的とした器具を膝周辺に取り付け、膝の負担や痛みを軽減する治療法です。

「装具」とは、身体機能を補うために体に装着する器具のことで、サポーター、コルセット、足底板、杖などがあります。装具を使って関節の変形そのものを治すことはできませんが、普段の生活において膝関節にかかる負担を減らし、痛みを和らげ動作を楽にすることができます。

装具療法については別項で詳しく解説しています。


◆温熱療法

身体を暖めて血流を良くする

患部を温めることで血行(血液の流れ)を促進する治療法です。

血行が良くなると、炎症や痛みの元となる化学物質や疲労物質が流れ出ていきやすくなるほか、筋肉や関節のこわばりをとって骨や軟骨への負担を減らすことができます。
医療機関ではホットパックや電気・超音波を使った専用機器を使用します。家庭でも入浴、カイロ、レッグウォーマー、サポーターなど、様々な方法で手軽に患部を温めることができます。

温熱療法については別項で詳しく解説しています。


◆運動療法

運動によって膝を強くする治療法

膝に負荷をかけて膝を強くするトレーニング、膝を伸ばして筋肉をほぐす柔軟体操・ストレッチング、ウォーキングや自転車のような全身を動かす運動等を行います。身体機能を高めることで痛みの解消や軽減につなげる治療法で、高い予防効果も期待できます。

膝周りの筋肉・靭帯・骨・軟骨といった組織が強化されることで膝の負担が減るだけでなく、膝の動きを良くする、肥満を解消する、心臓・肺・血管などの心肺機能を高めて体を若く保ち膝の老化を遅らせる、体力・抵抗力(免疫)を高めてケガや病気を予防するなど、様々な効果が痛みの軽減につながります。

運動療法については別項で詳しく解説しています。

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3.手術療法(外科的療法)

治療の基本は先に紹介した「保存的療法」です。一定期間は保存療法を行い、症状が改善するかどうか様子を見ます。しかし、「保存療法を一定期間行なっても症状が改善しない、または悪化している」、「症状がひどく日常生活に支障が出ている」、「大きなケガや骨のガンなど急な治療を必要とする」といった場合には手術を行うことになります。
関節の状態や患者の年齢、普段の生活環境などを考慮して、どのような手術を行うかを検討します。

◆主な膝の手術(一例)

関節鏡を使ったひざの手術


  • 関節鏡下郭清術
    膝に数カ所小さな穴を開け、カメラの付いた内視鏡や手術器具を挿入して手術を行うもの
  • 高位脛骨骨切り術
    骨の一部を切り取ることで骨の向きを変え、脚をまっすぐに矯正する
  • 半月板切除術・半月板縫合術
    欠けたり剥がれた半月板を取り除いたり、破損した半月板を縫合または一部切除する
  • 再建手術
    靭帯が切れる「靭帯断裂」において、腱(けん)を切り取って靭帯の代わりにする
  • 関節固定術
    関節の軟骨部分を全て削り取り、ネジやプレートを使って骨を一定の位置に固定する
  • 人工関節置換術
    関節の一部または全部を、金属やポリエチレンでできた人工関節に置き換える

手術療法については別項で詳しく解説しています。


4.その他の治療法

◆ひざの水を抜く

膝に注射をしてたまった水を抜く

よく「膝に水がたまっている」という言葉を耳にしますが、これは関節水症(かんせつすいしょう)と呼ばれる病状で、関節内ですり減った軟骨のカスが周囲の組織を刺激して炎症を引き起こし、「関節液」という液体が異常分泌されるものです。

水がたまると、関節が不安定になったり、炎症と痛みがどんどん悪化する悪循環が発生します。そのため定期的に注射器で関節内から水を抜く必要があります。
ただしこれは一時的な処置で、関節の炎症が治まらない限り、水(関節液)は再びたまり痛みも再発します。そのためほとんどの場合、水を抜くと同時に炎症の元となっているカスを取り除いたり、ヒアルロン酸を注射して炎症を鎮める治療も行われます。

◆患部を冷やす

氷嚢を使ったひざのアイシング

保存的療法の一つ「温熱療法」は、膝を温め血行を促進することで痛みを和らげる治療法ですが、逆に膝を冷やすことで痛みを抑える治療もあります。

冷やした方がよいのは、「急な強い痛みが見られたり、膝が腫れて熱をもっている場合」です。これは炎症が急激に広がっている証拠で、「捻挫・打撲・骨折」などの突発的なケガに見られます。

熱をもっている箇所やその周辺を冷やすことで炎症の広がりや内出血を抑え、痛みを軽減します。ケガをしたら氷のう(アイスバッグ)などを使い、できる限り早く冷やすことが重要です。

※温めたほうがよいのは「血行の悪さ」が痛みを悪化させている場合です。
そうした痛みは、急で激しい痛みではなく、肩こりのような重苦しく鈍い痛み、つまり慢性的な膝の痛みで見られる痛みです。患部の腫れや熱感が見られない時は、入浴やカイロなどで温めて血液の流れを良くするのが効果的です。逆に冷やすと血行が悪くなり症状が悪化します。

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