ひざ関節を保護・安定させる道具を使った治療

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膝に器具を取り付ける治療法『装具療法』

膝の痛みを和らげる治療法の一つに、膝関節の保護・固定・動きの安定を目的とした器具を膝周辺に取り付けることで、負担や痛みを軽減する「装具療法(そうぐりょうほう)」があります。

「装具」とは、身体機能を補うために体に装着する器具のことで、膝の装具療法では「サポーター」、「足底板」、「杖」の3つが主に使用されます。こうした装具が体を支えるという膝の役割を補助し負担を軽減してくれるため、膝の痛みが和らいだり動作が楽になります。

<目 次>

  1. 「サポーター」について
  2. 「足底板」について
  3. 「杖」について
  4. オーダーメイド品のすすめ
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1.サポーターの種類と特徴

保温タイプ(左)と支柱入りタイプ(右)
ひざ用サポーターの種類

サポーターは膝の周囲をすっぽり覆ってベルトなどで固定する装具で、「保温」を目的に使用するタイプと、膝を支えて固定するタイプの2種類があります。

◆保温タイプ

「冷え」は膝の痛みを引き起こしたり、悪化させる要因の一つです。冷え対策として使われるサポーターは膝を覆う防寒具のようなもので保温効果があります。材質がやわらかいため締めつけ感がなく、体操をしたり日常生活の中でも使いやすいのが特徴です。薬局などでも手軽に購入できます。

膝の保温性と支持性の両方を持つタイプもあります。材質がやや固めでベルトなどで固定します。サポート力は次に紹介する支柱入りのものには劣るため軽症の人向けになります。

◆支持・固定タイプ

膝を支えるタイプのサポーターは、内側と外側に金属や強化プラスチック製の支柱が入っているタイプのものです。
筋肉の代わりに膝関節を支えることができ、関節を支える太ももの筋肉(大腿四頭筋)が弱っていて膝に力が入らない人に適用されます。また、外側から脚を支えて固定するため、膝が外側に曲がっているO脚の矯正にも使用されます。膝の安定性が増す支持タイプは、主に歩くときに装着するもので、歩くのがだいぶ楽になります。

サポーターは、付けているだけで膝が保護されているという安心感も持てるため、是非利用していただきたい装具です。注意点としては、締め付けが強すぎると血行が悪くなって逆効果なため適度なサイズを選ぶことです。保温タイプも支持タイプも、市販品も含めてたくさんの種類があります。特に伸縮性に乏しい支持タイプのサポーターは、整形外科の医師に相談して選ぶか直接処方してもらうことをお勧めします。

2.足底板(インソール)について

足底板(そくていばん)は、O脚による膝の痛みを和らげ、膝の変形悪化を防ぐための装具です。

<O脚とは>
まっすぐに立っている時でも両膝の間が開いてしまっている脚の変形状態のこと。両足の間がアルファベットの「O」のように丸く開いていることからこう呼ばれ、俗に「がに股」とも呼ばれる。
子供に多く見られるが、ほとんどは成長とともに自然に改善される。O脚の状態が続くと膝関節の軟骨や骨が変形する変形性膝関節症を発症したり、逆に変形性膝関節症によってO脚になるケースもみられる。
足底板(左)と矯正イメージ(右)
O脚・ガニ股を直す足底板

変形性膝関節症などで脚の変形が進んだ結果、膝の関節軟骨の内側がすり減ってO脚になっている人が多く見られます。O脚の度合いがひどくなると、軟骨の内側に体重がかかって負荷が大きくなり、ますます関節の変形が進み、痛みも増してきます。

足底板はこのように軟骨の内側がすり減ってバランスが悪い状態を矯正するためのものです。靴の中敷きのようなパッド状の装具で、足の裏に当てて使います。O脚用の足底板は外側(小指側)が高く内側が低い、斜めの形状になっています。この上に乗ることで体重の負荷が膝の内側にかたよらず、バランスよく体重を支えたり、膝を安定させて痛みを軽くするることができます。

足底板は中敷タイプのものが多く、普段履く靴に使えるという利点がありますが、足首が固定されないためうまく矯正できないこともあります。足裏に直接装着するタイプもあります。
こうした欠点を改良したサポーター付き足底板もあります。ベルト状のサポーターで足首を固定するもので、中敷きタイプよりも矯正効果は強く、痛みも軽くなります。ただ、サポーターの分だけサイズが大きいので、靴も少しサイズが大きいものが必要になります。

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3.杖について

画像:杖の種類

杖は外出時に歩行によって関節にかかる負担を軽減したり、転倒を予防するのに効果的な装具です。
膝や股関節の痛みで歩くのが困難な場合だけでなく、徐々に痛みが増してきた時にも症状悪化を防ぐのに役立ちます。
杖というとどうしても高齢者が使う物というイメージがあり、使用に躊躇する人もいるかもしれません。しかし最近ではファッション性の高いオシャレな杖も多くなっていますし、杖を使うことで、運動のために積極的に歩いたり外出をする機会も増えてきますので、先入観は捨てて積極的に使うことをおすすめします。

<自分に合った杖を選ぶ>

杖を選ぶ際は、持ちやすく、自分の身長に合った杖を選ぶことが重要です。
手で握る部分が自分で持ちやすい形であり、まっすぐ前方を向いていることが使いやすい杖の条件です。
杖の長さについてはいくつかの目安があります。一つは、太もものつけ根の高さで選ぶ方法。もう一つは身長の半分+3センチ前後で調整する方法です。これらを目安に大体の長さを決め、あとは実際に杖をついてみて自分が歩きやすい長さに調整するとよいでしょう。
より安定性を求めるならば、杖の先が3〜4つに分かれた多点杖というものもあります。これは医師や理学療法士などに相談してから購入するのが一般的です。

◆オーダーメイド品のすすめ

ここまでに紹介した装具について、医師のアドバイスのもとで市販のものを購入しても良いですが、自分の体に合わせたオーダーメイド品を使うと装具としての効果がより一層高く、体にジャストフィットするため装着時の使用感もとても良く長持ちします。
膝の老化が進んでいる高齢者や、慢性的な膝の痛みを患っている人などは、長く膝の障害とつきあっていくことになる可能性が高いので、質の高い快適な生活を送るためにも、あまり妥協せずに体に合った良い装具を選んだほうが身体的にも金銭的にも良い結果を得られると思います。

オーダーメイド品は専門の義肢装具士が一人一人の足の形状に合わせて、計測・作成・調整をしながら作ります。希望する人は、医療機関で医師に相談し、診察を受けた上で自分の関節の状態に合ったものを処方してもらいましょう。

関連項目


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