骨肉腫でひざが痛むケース

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骨肉腫とは(症状・原因・治療)

膝の痛みを引き起こす可能性のある障害や病気の一つに「骨肉腫(こつにくしゅ)」があります。
ここでは膝の痛みとの関係を交えながら解説します。

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1.骨肉腫が疑われる症状

膝の痛みのほかに以下のような特徴や症状が見られる場合、骨肉腫が発症している可能性があります。


  • 運動時に膝に軽い痛みを感じる
  • 膝が腫れる。熱感を持つこともある

腫れあがった膝
骨肉腫ではれた膝

骨肉腫による症状は膝の痛みや腫れが見られる程度で、これといった特徴がありません。症状がほとんど同じである筋肉痛やねんざ・打撲などと勘違いされて放っておかれることがほとんどです。
肉腫が発生した初期はほとんど痛みもなく、やや症状が進むと、跳んだり走ったりした時に軽い痛みや腫れが見られ、安静にすると治まります。
症状が悪化するにつれて痛みが大きくなり安静時でも痛むようになります。さらに膝のの曲げ伸ばしがしにくくなるなど関節の動きが悪くなり、足を引きずって歩く「跛行(はこう)」などの様々な症状が見られるようになります。

骨肉腫は進行のスピードが速く、治療をしない場合どんどん大きくなって骨を壊し、周囲の筋肉や神経を圧迫して激痛を引き起こします。1ヶ月以内に倍の大きさになることもあります。腫瘍の肺への転移が多く見られ、大抵2年以内に発生します。

2.骨肉腫とは 〜 特徴や原因

<肉腫と腫瘍について>
「肉腫(にくしゅ)」とは、骨、軟骨、筋肉、血管、脂肪、神経などに発生する悪性腫瘍のこと。皮膚や粘膜にできる悪性腫瘍は癌(がん)と呼ばれ区別される。

「腫瘍(しゅよう)」とは、体の細胞が異常に増殖して大きくコブ状になったもので、人体に悪影響を及ぼさない良性腫瘍と、近くの組織に転移して体を破壊しながら増え続けていく悪性腫瘍がある。骨組織に発生する腫瘍は骨腫瘍(こつしゅよう)と呼ばれ、良性の骨腫瘍は「骨軟骨腫」、「内軟骨腫」など20種類以上がある。悪性の骨腫瘍は「骨肉腫」、「軟骨肉腫」、「ユーイング肉腫」などがあり、他器官への転移が見られる。発生頻度は良性骨腫瘍が圧倒的に多い。

骨肉腫とは、その名のとおり骨にできた肉腫(悪性腫瘍)のことで、腫瘍細胞が骨をつくるため、腫瘍部分が骨に変化するのが特徴です。

◆原因

発生の原因はほとんど分かっていません。遺伝的な体質でなりやすい人もいると考えられていますが、家族内での発生はごく稀なケースしか見られません。他にもラジウムやフッ素といった物質が発生率を上げるとの説もありますが、いずれもあくまで発生の要因の一つとして可能性があるという程度です。

◆その他の特徴

骨肉腫は骨の悪性腫瘍のなかでも最も発生数が多く、全体の約40%を占めます。ただし、骨肉腫自体の発生率は肺がんや胃がんなどの通常のがんに比べてはるかに低く、骨肉腫を含めた全ての骨の悪性腫瘍で見ても10万人に1人くらいの割合です。日本での年間新患者数は約100〜200人です。

小学生〜大学生くらいの比較的若い世代に多く見られ、より若いほど発症率が高くなります。男女比では3:2と男性が若干多くなります。

発生箇所は膝関節が最も多く60〜70%を占め、股関節や肩関節がそれぞれ約10%前後、顎も5%程度見られます。

◆骨の悪性腫瘍の種類

骨肉腫のほかに、軟骨にできる「軟骨肉腫」、骨や筋肉を支えている線維組織にできる「繊維肉腫」、骨を破壊しながら増殖する「ユーイング肉腫」などがあります。

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3.診断・治療・予防

◆診断

膝のレントゲン写真
X線画像:骨に変わった悪性腫瘍

初期の症状は患部の痛みや腫れだけですので、問診や触診だけで骨肉腫と判断するのは困難です。X線検査(レントゲン)で視覚的に肉腫を確認できることもありますが、ある程度病状が進行して肉腫の肥大化・骨化が進んでからの方が確認は容易になります。

そのほか血液検査において骨を作るのに関連する酵素であるアルカリフォスファターゼ値の上昇や、悪性腫瘍が疑われる乳酸脱水素酵素の高値が見られる場合、骨肉腫の疑いがあります。

最も確実な診断法は、腫瘍の組織を一部採取して顕微鏡で病理を調べる生体組織診断です。最終的にこれらの検査結果をふまえて総合的に判断します。

骨化の詳細な進行具合や他の臓器への転移を調べる際には、CTスキャン、MRI検査、造影剤を使ったX線検査などが行われます。

◆治療・予防

骨肉腫は肺に転移しやすいため、はじめに抗がん剤を投与して病状の悪化を防ぎ病巣を収縮させる化学療法を行います。その後、悪性腫瘍を切除する手術を行います。腫瘍が大きい場合は、骨や血管・神経ごと取り除き、後から人工関節、人工骨などで再建します。

近年は化学療法の発達により、四肢(腕や脚)を切断することなく手術を行えるケースが多くなりました。それでも化学療法の効きが悪かったり、他の臓器への転移が見られるなど、病状がかなり進行している時場合には、四肢の切断術や腫瘍部分を関節から切り離す関節離断術が行われることもあります。
手術後も半年〜1年程度は化学療法を続けて再発を防ぎます。

腫瘍のできる箇所によっては手術では取り除けないこともあります。また高齢者は大きな手術による負担に耐えられないことも考えられます。こういった場合は、化学療法に加えて放射線を照射して腫瘍細胞を死滅させる放射線療法を行います。

手術を行った人の5年後の生存率は、他の臓器への転移が見られなかった人で約50%、腕や脚を切断しなかった人では約70%となっています。病気の進行前に治療することができれば生存率は大分高くなります。

骨肉腫を含め、悪性腫瘍(がん)は早期発見、早期治療が大切です。骨肉腫は初期の発見が困難な病気ですので、膝の痛みや違和感が長く続く時は早めに整形外科で診察を受けることが肝心です。

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